数ある日本料理の中でも多くの人に親しまれ、愛されている存在が「おでん」です。日本各地に多くのバリエーションが存在し、屋台やコンビニから、高級な専門店に至るまでさまざまな場所でおでんが提供されています。
今日、おでんは日本だけのものではなく、東アジア諸国を中心とした各国に存在しています。中でも、台湾のおでんは具材のバリエーションも豊富ですし、細かな違いはありますが、日本のものにかなり近いと言うことができます。
そこで今回は「台湾でどのようにおでんが親しまれているのか」「日本のおでんは台湾で人気があるのか」など、台湾のおでん事情について紹介していきます。
おでんのルーツ
そもそも、おでんとはどのような料理なのでしょうか。
そのルーツとされているのが味噌田楽(みそでんがく)です。
味噌田楽は、豆腐を串で刺したものを焼いてから味噌をつけて食べる料理でした。やがて豆腐のかわりにこんにゃくが使われるようになり「おでん」と呼ばれるようになります。
煮込んだこんにゃくを使った田楽は「煮込みおでん」と言われ、屋台料理として発展します。関西に渡った煮込みおでんはやがて全国で広く愛されることになったのです。
なお、煮込みおでんが料理として確立した時期は、江戸時代後期とする説、明治以降とする説があります。いずれにしても、比較的新しい料理と言えます。
日本から伝わったおでんは、台湾で独自の進化を遂げた
言うまでもないことですが、台湾のおでんは日本から伝わったものです。第二次世界大戦の前、日本が台湾を統治していた時代に伝わったおでんは、台湾の気候風土にあわせ、オリジナルである日本のスタイルを踏襲しつつ、独自とも言える進化を遂げてきました。
北回帰線が本島を横切る台湾の気候は、日本と比べ温暖です。冬季を除けば気温も湿度も高い日が多く、温暖というよりはむしろ「暑い」と表現したほうが適切でしょう。気温の高い季節が長い台湾では、暑さへの対処が大切です。
次からは、暑い台湾でおでんがどのように進化したのか見ていきましょう。
辛いだしを使う
台湾には、香辛料をたっぷり使った辛いだしのおでんがあります。
使われる具材は、日本のおでんと変わるわけではありません。一般的な日本在住者にとっては、かなり刺激的な味に感じられることでしょう。とは言っても、単に辛いだけではなく、各種のスパイスが感じられる、奥深い辛さが特徴です。
一般的に、辛い料理は食欲を増進します。台湾の夏は厳しく、日中は暑い日が続き、夜もさほど気温が下がりません。そのような夏を乗り切るために、スパイシーに進化したおでんは大切な役割を担っているのかも知れません。
甘辛いタレをつける
おでんを食べる際、調味料を使う人も多いのではないでしょうか。
日本では「からし」が広く使われますが、台湾では、ケチャップに砂糖や唐辛子を加えて作った甘辛いタレをおでんにつける食べ方が主流です。台湾独自のこの食べ方は、辛さを加えて暑い気候を乗り越えるための工夫です。
台湾ならではの具材も
台湾のおでんでも、主役と言えそうなのが魚介を中心にした練り製品です。こってりとした食感を特徴とする白身魚に豚肉を加えた練り物があり、これも台湾ならではと言えます。
おでんの具材として、日本ではあまりポピュラーとは言えない「とうもろこし」や「たけのこ」も、台湾では定番の具材です。
台湾らしさがより強まるのは、豚の血の煮こごりと、豚の血ともち米をあわせた四角い餅でしょう。いずれも日本では見かけない、独特の外見をしていますが、台湾では広く食べられている食材ですから、実際には食べやすい具材と言えます。
おでんと麺、両方を楽しむ
台湾の人たちに人気の具材としては、麺があります。
生の中華麺だけでなく、インスタント麺が使われることもあります。インスタント麺は購入したおでんのだしに浸して、先に他の具材を食べ進めます。時間の経過とともに麺がちょうどいい具合に戻りますので、そこで麺を楽しみます。このスタイルも、台湾ならではのユニークなものと言えそうです。
日本のおでんは台湾で人気がある?
このように、おでんは台湾で独自の進化を遂げました。
では、台湾で日本スタイルのおでんは人気があるのでしょうか。台湾での日本食ブームと、コンビニの存在からそれを紐解いていきましょう。
台湾における日本食ブームの影響
世界各地で日本食ブームが起きていますが、台湾においてもそれは例外ではありません。
台湾において、日本食と言えば寿司とラーメンの認知度が高いのですが、うどんや立ち食いそば、カレー、牛丼などのチェーン店も数多く進出しており、日常的に日本食に触れることが可能になっています。
日本が身近な隣国である台湾では、日本食に関しても一定の愛好者がいます。台湾における日本食レストランの店舗数は世界的にも上位ですが、人口比で考えるとトップに君臨することとなります。日本の鍋料理も一定の人気があり、おでんは無視できない存在となっています。
コンビニの役割
台湾においておでんが提供されるのは、屋台などの飲食店だけではありません。コンビニエンスストアも、大きな役割を果たしています。日本でもおなじみの「セブン・イレブン」は、台湾でも最大の店舗網を構築しています。
台湾で、セブン・イレブンの一号店が開店したのは1979年のことです。翌年には台湾初となる24時間営業を開始し、台湾の流通業界に新しい風を吹き込むことになりました。店舗網も順調に拡大していき、2021年には6000店舗を超えています。台湾の人口が2300万人ほどですので、コンビニはいかに生活に溶け込んでいるのかが想像できます。
コンビニは、台湾におけるおでんの普及に大きな役割を果たしています。売り場の小さなコンビニでは、おでんの扱いがないこともありますが、売り場の広いコンビニでは複数のおでん鍋が置いてあり、選べる具材の種類が増えます。辛い台湾風のだしが入ったおでん鍋と、辛くない日本風のだしが入ったおでん鍋の両方を置いてあるコンビニもあります。
コンビニでのおでんの売られ方
台湾のコンビニでは、おでんはどのように売られているのでしょうか。
基本的にはセルフサービスですが、日本のコンビニと大きな差はありません。備え付けの器に好きな具材を選んで入れ、好みの量のだしを加えて会計を済ませるだけです。
コンビニでも、日本風のだしを使ったおでんが売られている店は決して少なくありません。日本のコンビニでおでんを買うのと同じように、台湾の人もおでんを楽しんでいることがわかりますね。
まとめ
おでんは第二次世界大戦の前、日本が台湾を統治していた時代に伝わり、台湾風にアレンジされていきました。暑い気候の台湾に合わせた辛いおでんが人気を集めていますが、日本のおでんの味も広く受け入れられています。
屋台でおでんが楽しまれることもありますが、日本のコンビニがおでんの普及に大きな役割を果たしています。
コンビニは、台湾でも日常生活に欠かせない存在です。そのコンビニでおでんが扱われていることは、台湾におけるおでんの人気が根強いことを示します。日本人がおでんを気軽に楽しむのと同じように、台湾の人もおでんを日常の食べ物として受け入れてることがわかります。